駿河三大名物のひとつ、安倍川餅を食べに行ってきました。
安倍川餅は、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも登場するほどの名物で、静岡県中心部にある安倍川という川のほとりに安倍川餅を売る茶店が軒を連ねていたそうです。しかし、鉄道ができた頃から人通りが変わり、茶店の活気も減っていったようです。
そんな中で、昔ながらの製法を守り続け、茶店として営業している石部屋(せきべや)さん。出来立ての安倍川餅を、風情ある建物の中でいただけます。
もともと、つきたての餅にきな粉をまぶし、白砂糖を乗せたものを安倍川餅と呼んでいたそうです。当時白砂糖はめずらしく、安倍川の渡しを待つ人々が茶店で食べ、名物になっていったそうです。
そういった由来を知らず食べに行ったものですから、「あれ?きな粉の上に砂糖が乗ってる。きな粉に砂糖混ぜてないのかな?めずらしい盛り付けだな」と、不思議な気持ちをもちつつ食べて帰ってきました。
また、きな粉が使われていることにも由来があるそうです。安倍川上流に「笹山金山」という金山があり、きな粉の色を金山で採れる砂金に見立てていたそうです。
さらに、安倍川餅という名前は、徳川家康が直々につけた名前だそうです。
生まれてからずっと静岡県に住みながら、安倍川餅にそれほどの歴史があったとは知りませんでした。これから安倍川餅をいただくときは、正座して背筋を伸ばし、うやうやしくいただかなければなりません。と、明日になったら忘れているであろう決心をするくらいの気持ちにはなりました。
ところで、石部屋さんで安倍川餅をいただいたときに特に嬉しかったのが、お茶が美味しかったことでした。ぬるめの適温で淹れられた美味しいお茶に、神経の行き届いた丁寧な仕事をされていることを感じました。
さて、冒頭で「駿河三大名物」と書きましたが、「安倍川餅」の他の名物をご存知ですか?静岡県のかたでも知らないという人が多いかもしれません。駿河三大名物は「安倍川餅」「追分羊羹」「うさぎ餅」です。
どれも美味しい和菓子ですので、ぜひ静岡へお越しください。