
先日、小雨がぱらつく中、忍野に行ってきました。

忍野は山梨 にある名水で有名な村です。
観光客が多く静かに過ごすことはできませんが、喧騒の中で清らかな水の流れを眺めていると涼し気な気持ちになります。

建物の軒先で、とうもろこしをたくさん干していました。
私の田舎では、とうもろこしを干して食べる習慣がないため、南米の風景を見ているような不思議な気分でした。

名水といえば、蕎麦と日本酒です。
この日いただいた盛り蕎麦は、田舎蕎麦寄りで蕎麦粉の香りが強く、濃いめのつゆを蕎麦の端に少しつけていただくタイプでした。
日本酒は、「春鶯囀(しゅんのうてん)」という山梨の地酒です。やわらかい甘みのすっきりした飲み口で、蕎麦と一緒に気持ち良く喉を通って行きました。
そういえば、蕎麦通は、蕎麦をつゆのなかにどっぷり浸けるようなことはしないんだなどと言いますが、それは東京の蕎麦の話です。濃いめのつゆだからたくさん浸けると辛いのであって、薄めのつゆの場合はしっかり浸けてもいいんです。
こういうことを、私が言っても説得力ないかもしれませんが、池波正太郎先生が以下のように書かれています。
そばのつゆにしても、ちょっと先だけつけてスーッとやるのが本当だと言うけど、これだって一概には言えないんだ。つゆが薄い場合はどっぷりつけていいんだよ。
(男の作法 著:池波正太郎)
つゆの濃さにかかわらず、なんでもかんでも、ちょっとつけるのが通の食べ方なんだと言っている人は「江戸っ子の半可通と言ってね、ばかなんだよ。(池波正太郎)」とのことです。